メニュー


寄ってこ食べてこ日御碕

よってこたべてこひのみさき 

食べる出雲エリア平成時代

日御碕(ひのみさき)では新鮮な海産物も名物のひとつ。名物の代表選手、日御碕灯台の近くでは、その海産物を新鮮なまま、あるいはあれこれ加工した物が売られている。その場でぱくりと食べるのも楽しいけど、美味しい記憶を一緒に連れて帰るのも悪くない。旅が終わったあとも、美味しさと一緒に楽しかった日御碕での思い出が蘇る。食べてばっかり・・・?いえいえ、それもまた旅の醍醐味かも。


日御碕神社からさらに北へと進むと、日御碕名物の白い灯台が見えてくる。
海面からの高さが63メートルもあることから東洋一の灯台といわれ、「世界の灯台100選」にも選ばれている。150円を払えばなかに入ることが出来るので、展望台に上がって景色を楽しむもよし、海沿いの遊歩道から青い空と白い灯台のコントラストを眺めて楽しむもよし。たとえ青い空が見えなくても大丈夫。名物の元へと「名物」は集まるのだから。
周りを海に囲まれた日御碕では、海の幸が豊富に獲れる。日御碕灯台から駐車場を結ぶ道沿いには、そんな魅惑の海産物を並べたお店がずらりと並んでいるのだ。土産物小径、とでも名付けたくなるような通り。早速、店先に干物を並べたお店を発見した。アマダイにシシャモ、カレイにイカまで見事に並べられていて、どの商品もずいぶん安い。10匹あって300円から500円なんてものまである。「どーぞ、いらっしゃい!」お店のおばちゃんは、まず私たちに明るく声を掛けてから、「今日は寒いねぇ」と三上さんに声を掛けている。「ほんにねぇ、昨日までは温かったにねぇ」方言ならではの温かい言葉の響きを聞いていると、ますます干物がおいしそうに見えてくる。
キレイな貝殻を並べたお店や、ユニークなハリセンボンをぶら下げたお店など見ていると、醤油を少し焦がしたようなたまらなくよい香りが漂ってきた。「はいはい、食べていかんかねー」おばちゃんが店先で、タレに漬けたイカを焼いている。
その横ではサザエもジュクジュクと音をたてて、まさに食べ頃。頼めば、店先の干物も焼いてくれるという。あれこれ迷ったあげく、焼きイカを買って歩きながらかぶりついた。お行儀は悪いけど、これもまた旅の楽しみ。しかし焼きイカだけでは足りないらしく、「そろそろお昼にしようか?」と、つい口にしてしまう。お待ちかねのランチ!
日御碕には、新しくできた名物がある。その名も「みさき丼」。「日本海丼」、「イカ玉丼」「イカ納豆丼」「サザエ丼」「かじめ丼」の全部で5種類ある。「かじめ」は海藻の一種で12月に入らないと食べられない、期間限定の一品。
もともとは、日御碕観光振興会が「新鮮な魚介類を使って何か作れないだろうか?」と思い立ち、地元商店の方がたと協力して作られたという。そのとき、商店側の取りまとめ役となられたのが、「花房商店」さん。みさき丼を5種類すべて提供している商店は少なく、「花房商店さんなら、5種類全部作っとられるわ」と、お店の方に教えてもらった。
早速、花房商店さんにお邪魔した。「あら、いらっしゃい、外は寒かったでしょう?はやなかに入りない」と出迎えてもらう。お目当てのみさき丼のなかから、日本海丼、イカ玉丼、サザエ丼を注文すると、待っている間にお茶を出して下さった。湯のみからもこもこと湯気が立ち上がり、冷えきった体をほっこり温めてくれる。体がほぐれたところで、お店の方にお話を聞いた。「みさき丼を作るのに材料は豊富にあるけんいいけど、最初に考えたもんを続けていくのがねぇ。それぞれ自分とこのやり方があーだけん、店によって味は変わーわねぇ。」
最初に教えてもらったお店でも、「みさき丼」ではなく「日本海丼」と呼んでいた。そちらでは日本海丼がメインなんだろう。どこでも同じ味ではなく、お店それぞれの「名物」として変化していく。逆に考えれば、そのお店独自の味が楽しめるということ。
「はい、お待たせしましたぁ」お盆に載った丼が運ばれて来た。器に触ると、ホカホカしている。半熟卵のよい香りが部屋に広がってきた。「いただきまーす!」と蓋を開けると・・・。
「日本海丼」は旬の魚を特製タレに漬けて、海苔ではなく板わかめを添えたもの。板わかめのぱりぱりした食感が、新鮮な魚介類に合う一品。「イカ玉丼」「サザエ丼」は親子丼のように卵でとじてあり、半熟卵のとろとろ感とプリプリした海の幸の歯ごたえがたまらない。食べ終わると幸せな満腹感。
次に来るときは、季節限定で食べられなかった「かじめ丼」かな?それともほかのお店の「日本海丼」と食べ比べるのもよいかも。5種類のみさき丼は、何通りもの楽しみを味わわせてくれそうだ。
灯台に登って体が冷えたら、土産物店をいろいろ覗いて、身も心も温かい時間を過ごして帰ろう。きっと、お店のおばちゃんの「寒いでしょう、お茶でも飲んで温まって行きない。」という声が聞こえてくるから。




これぞ日御碕の象徴!日御碕灯台

日御碕灯台

宝の山、ならぬお土産の山。土産物小径。

お土産物屋

「はい、ど?ぞ」おばちゃんが目の前で焼いてくれます。

イカ焼き風景

卵がとろっ!身のコリコリ感も楽しいサザエ丼

サザエ丼