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出雲大社参拝後の香り高い珈琲

いずもたいしゃさんぱいごのかおりたかいこーひー 

食べる出雲エリア平成時代

 出雲大社にお参りした後に香り高いコーヒーをと思ったら、参道を戻って町を見下ろす勢溜から神門通りを100メートルほど下り、そこを左に曲がって50メートル、やくも寿しを過ぎると亀の紋章を掲げた坂の下cafe「morikame(モリカメ)」が呼んでいる。


 ガラスの入った木製の引き戸を開けるとクラシックなカフェ空間。お勧めは、同じ出雲市の南の山中にある牧場のパン屋「カウベル」の米粉パンのラスクとふくよかな香りのmorikameオリジナルコーヒーのセット(520円)。取材している間にも女性が連れだって寛いで行く。そして、大社の町で人気の和風スイーツと言えば断然「ぜんざい」。ここの「出雲ぜんざい」は大きな紅白の餅が入って、甘さも控えめ。そして注目は、赤いお膳の漆の絵柄。大根、クワイ、山ブドウなどを描いたお膳。この店が以前、旅館だった時代に使われていたらしく「夜食膳」と書かれた箱に入っていたそうだ。茶卓も良く見ると、「大社」と刻まれ光沢が出ている。こうなると、店内の品々に目が行ってしまい、カウンターに載せられた盆にも、「森亀旅館 電話 十番」の金色の文字を発見した。
 先ほどお店に入った玄関は、江戸時代の森亀旅館では裏庭に面した縁側だったらしい。旅館時代の表は、今のカフェの裏であり馬場通りに面している。神門通りは旧大社駅ができてから作られた道なので、坂下森亀旅館は馬場通りの坂の下にあたると思われる。もちろん、坂の上には出雲大社がある。
 旅館は当時300坪ほどの敷地に2階建てで、部屋数は9部屋ぐらいだったとか。大きな部屋に各地からやってくる参拝客が相部屋してさぞ賑やかに泊まったのだろう。今は40坪ほどの大きさになっている。聞けば、森亀旅館は昭和34年から平成18年まで、紅谷(べにや)というカステラを中心にした地元でも人気のお菓子屋さんだったことから、カウンターテーブルなどは、お菓子屋さん時代ものを利用しているとのこと。黒光りする梁を見上げると、ひときわ赤い大入り招き猫の絵があるが、なんと招き猫は座布団2枚の上に座っている。これは、東京品川区のお菓子屋紅谷に修行した先代に、商売繁盛を祈ってその紅谷から贈られたものという。
 店内には他にもアンティークがあり、大きな鏡には「カブトビール」と兜のロゴマークが付いていた。調べて見ると明治時代の愛知県半田市にあった当時としても珍しいビール会社のもの。カフェにするときにしつらえた真新しい木材も、旅館の頃に修理や増築用に蓄えられていたケヤキの木を利用して作ったそうだ。神門通りからほんの少し奥まって、時代や土地を感じさせてくれる坂の下カフェmorikame。ガラス越しに向いのモダンな写真館の建物を見ると、古いガラスのせいで少し歪んでレトロ・モダンに見えてしまう。




morikameオリジナルコーヒーのセット

morikameオリジナルコーヒーセット

赤い漆の絵柄のお膳に載った出雲ぜんざい

お目出い雰囲気の出雲ぜんざい

黒漆に浮かび上がる森亀旅館の金文字

黒漆に浮かび上がる森亀旅館の金文字

白い椅子が調和した店内

白い椅子が調和した店内