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カリッと海の味。これは“かまぼこ”です。

かりっとうみのあじ。これは“かまぼこ”です。 

食べる出雲エリア平成時代

 「これはね、“かまぼこ”なんだよ」
目の前のスナック菓子をボリボリと食べながら、別所蒲鉾の竹並一人社長は話す。「出てくる形が違うだけでね、原料はかまぼこと同じだからね。そうだろ?」低い声に人懐っこい笑顔がアンバランスな竹並社長。大社海岸に近い場所に2つの工場を持つ別所蒲鉾の3代目社長だ。


 竹並社長がこの商品を開発したのは8年前。完成には5年の月日を費やした。かまぼこ屋の息子として生まれた竹並社長。幼少の頃から工場内を駆けずり回る日々の中、楽しみの一つが、揚げ蒲鉾を作る際に出来る揚げ物の“端っこ”だった。「カリッ」とした食感と噛む度に広がる魚の風味は蒲鉾工場ならではの贅沢なおやつだったとか。
 月日は経ち、社長が陣頭指揮を取るようになったある日、「懐かしい味」の商品化が始まった。それは多くの壁との闘いでもあった。
 原料は同社がこだわる合成添加物無添加のかまぼこと同じ。かまぼこはプリプリであることがおいしさの秘訣。スナックはその逆でカリカリに仕上げないといけない。偶然にできる少量であればいいが、大量に作るとなると歩留まりが悪くなるのだった。更に魚独特の臭みを残さないようにする必要もあった。顧客の関係者である主婦の集まりなどにも積極的に試食をお願いし、意見を集めた。魚の風味を残しながら癖の無いように、しかもカリッと揚がるような頃合いが難しかったのだとか。
 幾多の努力の結果、「お魚チップス」は完成した。国内産あじの風味満載の「プレーン」に加え、「青のり」や「甘エビ」などバリエーションも増やした。もちろん原料は国産にこだわっている。「甘エビ」はエビの味を引き立たせることも含め、主原料をスケソウタラの身に変更した。通常の商品でも国内産のみを使用しており、スナックと言え原料に妥協はシたくなかったのだ。「お魚チップス」は通常商品と同じく都会地を中心に販売し、今ではその存在が定着したのか安定的に製造出荷を行っている。
 「大社にはかつて多くのかまぼこ工場があった。今では10数件しかない。確かにうちは生き残っているが、これは決して嬉しいことではない。大社のかまぼこはね、地場産業なんだよ」と竹並社長。自分の会社のみが生き残る事だけが事業の目的ではないと話す。県内など近場だけではなく、積極的に県外に売りに出て、“大社の蒲鉾”をアピールしたいと力強い。「お魚」チップスはそれを広める手段の一つなのだ。
 また、竹並社長は、豊かな大社の海を取り戻すために、その根源とされる沿岸の山地に植林を行っている。海の恵みが増えることが大社の街に活気を与えるからだ。
 海の未来は蒲鉾の未来にも通じるかも。「お魚チップス」には大社の海の未来がギュッと詰まって、カラッとあげてあるのかな?

有限会社別所蒲鉾店
住所:〒699-0751 
   島根県出雲市大社町杵築西1973−1
電話:0853−53−2200  
FAX:0853−53−5028
URL:http://www2.crosstalk.or.jp/bessho/index.html




3種類の「お魚チップス」

3種類の「お魚チップス」

「お魚チップス」原料はかまぼこと同じ

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工場の近くに大社の海が広がっている

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チップスの素が油へダイブ!!

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