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キラリと光る黄金そば。さて、その由来は?

きらりとひかるおうごんそば。さて、そのゆらいは? 

食べる出雲エリア平成時代

出雲大社外苑駐車場から南へ歩いて7分。大きな三叉路の西側に暖簾を下げているのが出雲そばの店「かねや」。中はお座敷とテーブル席が規律よく並んでいる。席は全てが4人掛け。お昼前には店の外には長く伸びる行列も、順番が来ると次々に、淡々とそれらの席に案内される。


 メニューの片面には様々なそばの一覧がずらりと書かれている。こちらのオススメは『三色割子』と『淡雪』だ。
 三色割子の一番上には中心に生たまごがポンとある。次の段にはとろろがあり、最後は普通の割子。これが四段と五段になると四段目には大根おろしが乗るのだ。割子そば独特の食べ方、食べ終わった段の残り汁を次の段に継いでいくと、最後の一枚はまさに“スペシャルミックス”な物となる。そばを茹でた後、キリっと冷えた地下水で締めることもあり、しっかりとした腰の強さが味わえる。出汁は大社独特の甘辛系。
 釜揚げそばの中心にとろろを敷き詰め、生たまごをおとしたのが温かいそばの名物“淡雪(あわゆき)”である。多くのお店の釜揚げそばが、出汁は入らずにお客の手元に来るのと違い、こちらのお店では出汁が入ってくる。その分真ん中のとろろの白さが際立って見え、まさに“淡雪”となる。
 そばを食べる時に使う割り箸の袋には“黄金そば”と書いてある。これに気付くと気になってしょうがない。
 昭和四年、先代が創めた「かねや」は現在のご主人に引き継がれ、地元の人々に愛されるそば屋となった。平成二年に現在の場所にお店を移した。メニューは割子のバリエーションと釜揚げのバリエーションがそれぞれあるのみ。蕎麦前として唯一ある地元の“野焼き”が、かつては夜も営業していたらしいという名残りをとどめている。以前は地元の人が通いつめたそば屋だったが、今では通な観光客が列を成すお店となっている。
 道を挟んだところにある以前のお店で、今ではご主人が黙々とそばを打っている。ご主人がお店に姿を現すのは、出来たそばを運ぶ時だけだという。奥さんも「お店はすべて女性で切り盛りしてます。その方が行き届くことも多いですしね」と、お店の人がすべて女性だった理由をあかしてくれた。
 気になっていた“黄金そば”について聞いてみた。すると「先代が付けた名前でね、でもその思いまでは詳しく聞いてなくてね」と女将さん。「でも、きっと「黄金が貯まるように」とか思って付けたんでしょうね」と苦笑い。確かに、確かに。店先の行列は、先代の願いがしっかりと叶えられているように思える。そんな話しを聞くと気のせいか、三色割子や淡雪が光っていたような・・・。




3枚のわりごの具がみんな違う三色わりご

かねやの定番、三色割子

とろろの白が引き立つ、あわゆきは温かいそばのおすすめ

温かいそばのおすすめ淡雪

打ち立てのそばがもろぶた(箱)の中に並んでいる

正真正銘打ち立てのそば

白く、おそばと染められた緑ののれん

お昼時をはずせば静かな玄関