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雑貨の妖精の隠れるpual tytto

ざっかのようせいのかくれるぴゅあるとっと 

見る知る出雲エリア平成時代

 pualは飼っている犬の名前。tyttoはフランス語で女の子。7年前に妄想で始まった雑貨屋。その妄想のお店が2年後には4畳半ほどの広さをガソリンスタンドに間借りしてスタートした。それから2年が経ち、とうとう古民家の一角を改修して、温もりを感じるお店pual tytto(ピュアルトット)がオープンした。ここは鄙びた漁村、それも車の通る海岸の道からまったく見えないお店。小さな案内看板さえもない。


 開店して2年、古民家にともった灯りは今も雑貨たちを照らしている。島根半島の出雲市北浜地区の海岸にあって十六島湾(うっぷるいわん)の布施灘に布施川が流れ込むほとりにpual tyttoはある。しかし、お店は隠れている。ともかく布施川を上流へ向かって10メートルも進めば右手の川向うに古びた民家の店の灯りを発見できるはずだ。車が2台か3台ほど店の前に駐車できる。店に玄関らしきものは見あたらない。元は縁側であったと思われる軒下に、大きな木製のガラス窓が8枚並んでいるのだが、その左の方に白い板にpual tyttoと黒い板細工のされた看板が立っていて、その脇の木の階段を上がると入り口となっている。入り口のガラス窓の滑りが重く、店主の高橋陽子さんが尽かさず駆けつけて来て開けるのを手助けする。こんな風にして店内に入り込むことになるので、木枠の窓から中をのんびり、ゆっくり眺めて階段に足を掛けると良いだろう。
 このお店には、同じ出雲市内を始め松江市の人、さらには鳥取県の人もやって来るという。中には出雲大社にお参りして、裏の山を越えて鷺浦に出て猪目(いのめ)などを回って来る人も混じるようである。紅葉の綺麗な鰐淵寺帰りの人も立ち寄ることもあるそうだが、こんな隠れたお店にどうやって来ることができるのか疑問に思って聞いてみたら、今時のSNSの口コミの力によるとのことだ。店のお客様は少しづつ少しづつ増えているという。
 店の重要なポイントは高橋さんの日常生活と深い関わりがある。結婚して子育てをする中で、彼女は「おうち」と言うのだが、おうちで楽しく家事をするための雑貨を揃えたいと思ったのだそうだ。そんなオススメはバスケット、リネン、コーヒー系雑貨、アロマ、フレグランス、ハット(帽子)など。
 えっ?バスケットは初夏に屋外がお似合いというのが一般的なのだが、その編んだバスケットを、おうちでは収納に使うという。子育てしているとなかなか片付けられない悩みは誰でも持っているそうで、バスケットにポンポンと放り込んで、ちょっと気に入った布でも被せれば素敵な置物に見えてしまうのだそうだ。冬こそバスケット。
 リネンのキッチンクロスもお薦めの一つとのこと。拭いた食器などに糸くずなどが残らない厳選したクロスは、落ち着いたデザインのものがいくつも並んでいて、しかも広げると大きい。食器類にかけて埃を防いだり、折りたたんでテーブルマットにもなる。使う人の工夫で用途も広くて人気があるそうだ。
 そしてコーヒー系雑貨。子育て中は毎日カフェなど望むべくもない。しかし、カフェや雑貨屋などのお店をしたい女性は多いという。そうした女性たちに、おうちの一角で、日々の仕事や家事に追われる自らを癒すカフェを味わってもらえたらと、カフェの楽しさを想像しながら仕入れをしているという。
 pual tyttoは店が狭いこともあり、自分の好きなものだけを集めているとのこと。気に入って使えるもの、愛着がわいてくるもの、そして日常生活ではしばしば訪れるのだが、疲れているのに料理をしなければならない時、そんな時こそ、雑貨たちが微笑みかけてくれたり、エールを送ってくれたら。雑貨というものたちに見つめられ語りかけられて、愚痴が引っ込んでしまう。自分の愛を込めて選んでほしいと。高橋さんは言う。
 こうして古民家の店pual tyttoに集まったものたちは、ナチュラルでシンプルなものになった。子連れのお客様も多いそうで、古びた長椅子に子どもが読めるように絵本も置かれている。店の天井や壁のクリーミーな白色は、高橋さんが苦労して全部塗ったそうだが、もう少し古民家の古さを残しておけば良かったかなーと感じているそうだ。




黒い梁が古民家を感じさせる

古民家の中に広がるの店内

シンプルなデザインのリネンが並ぶ

おすすめのリネン類

立方体のものやすこし丸味をおびたものなど

収納としてバスケットたち

手作り感のあるカフェを作るための小道具も

おうちカフェ応援雑貨