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地元産食材で幕の内&カツカレー

じもとさんしょくざいでまくのうちあんどかつかれー 

食べる出雲エリア平成時代

 歴史博物館の正面にある「ビジネスホテル大社」。実はこここそ、「出雲そばだけじゃない」を実践するお店だった。宿泊もでき尚かつランチもやっているというこちらは、出雲そばをはじめ様々なメニューがある中、お勧めは “幕の内弁当”と“カツカレー”だと聞いた。


 「地元の食材を中心に使っています」と話すのは社長の奥さんであり専務の吉田さん。ボリューム感たっぷりの幕の内弁当には、地場の味が凝縮されている。お刺身はほとんどが大社の港で水揚げされた新鮮な魚。それだけでも贅沢なのに、大きめの海老フライが花を添える。しかし、奥深いのは煮しめの数々。その時期の旬な素材を使っている。
 以前は有名所の産物を使っていたが、近年は地元産を多く使っているという。そのわかめの茎は、出雲名物の板わかめを作る際に出る、言わば廃品を利用しているが、吉田さんの手によって、程良い歯ごたえを残した品のある煮しめとなる。遠くの名物よりも地元産の方が安くて新鮮なのだとか。何よりも安心して食べてもらえる素材を選んでいる。
 “おみおつけ”はしじみ汁。これは宍道湖産ではなく、出雲市の汽水湖である神西湖(じんざいこ)で捕れる大和しじみの中玉を使用。しじみ独特の風味を帯びた出汁が、体中に染み渡る。プリプリの身の中玉は、ちょっと贅沢なしじみ汁である。
 「ビジネスホテル大社」は昭和42年、当時賑わっていた勢留(せいだまり)周辺のお土産屋さんへ、団体旅行客向けの食事を用意する仕出し屋さんとして創業したのが始まりだった。その10年後、9つの部屋を持つビジネスホテルへと業務を拡張した。時代が移り変わる中、40年以上この地で営業している。
周囲のお土産屋さんのほとんどは廃業しており、「賑わいが無くなってしまったね。お店は連なっているからこそ賑わうものだけどね」と寂しそうに話す。ただ、歴史博物館が建ってからは、賑わいも戻りつつあるという。宿泊はもちろん、ランチのお客さんもまた増えている傾向にある。
 ビジネスや観光客はもちろん、部活などの遠征でも利用されることが多い。それ故に食事には人一倍気持ちを入れているという。「建物は古いですが、場所と料理は自信ありますよ」と歴史博物館を眺めながら話してくれた。
 現在は吉田さんとパートさんの2人できりもりする厨房だが、以前は多くの先輩料理人で溢れていた。現在のメニューには当時教わったものも少なくない。中でも、洋食屋さん直伝のカレーは高級感のあるしっかりとした一品だ。そこに、創業以来使っている島根県出雲地方の南部、飯南地方産豚肉のロースカツが載る“カツカレー”は人気の一品である。しっかりとした肉の味が一噛み毎に溢れ出し、カレーが程良いソースとなってご飯との間を取り持つ。上品で重厚な食感である。
 食後のデザートとして、出雲が発祥とされる“ぜんざい”もある。小豆は北海道産の大納言を中心に使っていたが、最近では出雲産の美味しい小豆をみつけ、その使用頻度も多くなっている。ここにも地元産にこだわる吉田さんの心意気が感じられる。
 その他、出雲そばを始めとしてメニューも豊富な「ビジネスホテル大社」のランチ。出雲古代歴史博物館のチケットは一日なら何度でも出入り可能なこともあり、ゆっくり一日を過ごしつつ、お昼もしっかり取りたい人は是非立ち寄りたい。
 また、この建物の裏には古事記の出雲神話、スサノオノミコトのオロチ退治に登場する稲田姫の両親、アシナヅチとテナヅチの子孫とされる人の墓が並んでいるという。出雲らしい風景は、食卓の会話を盛り上げることだろう。

住所:出雲市大社町杵築東67番地の3
電話:0853-53-2194
・レストラン
営業時間:8:00〜15:00
定休日:火曜日
駐車場:8台




地場の素材が中心の「おふくろの味」

幕の内弁当

幕の内弁当のアップ

幕の内弁当

大社のB級グルメ?カツカレー

カツカレー

豚肉は島根県飯南町産。

カツカレーのカツ