のあるコンテンツは、島根県立古代出雲歴史博物館の展示または館内施設に関するコンテンツです。
旅の最初は、『松江しんじ湖温泉駅』を出発し宍道(しんじ)湖や沿線の風景を楽しみながら『一畑口駅』へ。最初は電車の“揺れ”に苦戦しつつも、窓の景色を楽しむ。宍道湖では“シジミ漁”をする数かずの船が、その風情を演出する。 駅の建物は古いものが多く、それすらも何かのセットのような雰囲……
「あの素朴な色と香りと独特な出汁の風味を、心の奥に潜んでいる少年のころの記憶を辿ってみたい」何気なく立ち寄った出雲そば屋でふとよぎったひらめきみたいなものだった。 松江市石橋町の「きがる」は松江城近くの、「昭和」を彷彿させる町並みにさりげなく暖簾を出していた。この町には名水「石……
「八雲立つ出雲八重垣妻込みに云々」で始まるスサノヲノミコトとクシナダヒメのロマンチックな「八重垣伝承」とその舞台となる「八重垣神社」。有名なヤマタノオロチ(大蛇)退治を前譚とする影響からか、ヒーロー然としたスタンスで語られることの多いスサノヲノミコトであるが、果たしてこのパーソナ……
この項では「出雲国風土記」(以下風土記)をキーワードに、1スポット、あるいは2スポット単位で風土記にゆかりのある地を訪ねレポートしてみようと思う。第1回目は「石宮神社」。場所は松江市宍道町白石。風土記に宍道(ししぢ)の郷として語られる。宍道は、ご存知の宍道湖の名前にもなっていると……
食材の生産地にひたすらこだわり、「中国山地蕎麦(そば)工房」とその店名に冠しているそば屋があると聞いていた。食材にこだわる店は多々あるが、それだけではさほど評判にはならないだろうと興味津々で暖簾(のれん)をくぐる。
「古民家で、家具の工房をしているらしい。」 聞きつけてやってきたのは、雨の似合う閑静(かんせい)な住宅街。 「家具屋 Flat Style(フラットスタイル)」さんの建物は、古さゆえの美しさがあり、それだけで心はずむ。 どのような思いで、手作り家具がうみ出されているんだろう……
「おーうぇ」 “出雲”の名付け親とされるヤツカミズオミズノノミコトが、国引きの大仕事を終え叫んだ地。意宇(いう)平野一体(現在の松江市意宇地区)は、『出雲国風土記』でも最初に出てくる郡(こほり)である。 神の隠(こも)る山“神名樋野(かむなびぬ)”とされる茶臼山(ちゃうすやま……
松江市の病院移転により、その事前調査で発掘された田和山遺跡。20棟を超える住居跡が見つかり、山頂からは数十本の柱の跡。そして、山頂を守るように見つかった三重の「環濠(かんごう)」。そこにも垣間(かいま)見せたのが“出雲独特”なものだった。他の地区で発見された「村を守るための環濠」……
古曽志古墳群は、松江市の中心から国道431号を東へ車でおよそ10分、宍道湖北岸に広がる丘陵地帯の南側にある。住宅造成中に見つかったここの古墳群。整備された公園一帯には13の古墳ととほうもなく大きな実物大の模型がある。出雲国風土記では、国引きによって引っ張ってこられた側の国。そこを……
伯耆富士「大山」とともに古くから信仰を集める天台宗の別格本山「大山寺」。その大山寺の分院「圓流院」が平成21年に再建。しかも百八体もの妖怪たちと賑やかに復活。はてさてその全容は?大山観光の新しい目玉になりそうな予感をはらんだ圓流院へ、いざ潜入!
出雲神話を訪ねたり、景色を楽しんだりと、各種ウォーキングコースが充実している島根県だが、実は、のんびりとドライブするのに適した風光明媚な道路が多いのも特徴。そこで今回は「ヤマタノオロチ」をキーワードに、雲南市から松江市まで、斐伊川を下る半日ドライブコースを紹介してみたい。
美保関に古民家を改修して泊まれる場所ができたと聞いて、さっそく行って見た。一夜干しのイカが美味しい。ここは美保神社の諸手船神事など祭礼の町。また、半島の突端には白く輝く美しい灯台があり、隠岐に渡るには、この灯台を回り込むように日本海を行くところ。そんな海辺の港町に夜になって到着……
松江市の南、市街からそう遠くない山間の忌部(いんべ)は熊山(くまやま)地区。車が一台通るほどの道でガードレールもないので、町から来た人はびっくりするという。そんな細い道を上がると茅葺きの農家が現れる。これなのかな、と思って近づくと、どうもここらしいっていう感じがすれば、それがギ……
JR山陰本線「乃木駅」で下車し、茜色に染まった夕日を堪能してたどり着くのもよし、店を出て夕日を追いかけながら出雲路へと向かうもよし、情緒溢れる景観を心に焼き付けて「縁(えにし)の旅」はここから始まる。
夜の繁華街東本町。その一角にある「橘屋そば店」は二つの顔を持つ。
国道9号線から来待川に沿って来待温泉と大森の湯の間に民家カフェKIMACHI山花(さんか)がある。来待小学校の南側にあたる場所に陶製店名を取り付けた大きな看板が立っている。車が10台ぐらいは止まりそうな駐車場の奧の少し高い位置に民家カフェ。駐車場横の草むらから陶製モニュメントが……
「武家屋敷で出雲そば」などと、当世流行(はやり)の「歴女(れきじょ)」でなくとも心曳かれるこの企み(たくらみ)。文豪ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が愛した古都を心に刻み、はたまた「神々の集う月(神在月)」のあることを、そして「割子」「釜揚げ」、他所には無類の蕎麦の食し方のあるこ……
男神イザナギと女神イザナミ夫妻の神話舞台であり、死者と生者を分かつ場所として知られる「黄泉比良坂」。なにやら畏怖めいた謂われの多い場所だが、この地ばかりでなく、イザナミを祀る古社にまで、死者にまつわる伝説が残される。しかし、本当に恐ろしげな場所なのだろうか?ここらでひとつ、新し……
『島根半島四十二浦巡り』というものがあるのをご存じだろうか?なかんずく「いずもる」を好まれる趣向の方々であれば、知っておられる向きも多数おいでだろうが、ここはあえてビギナーモードで…つまり、観光気分のドライブモードで、ひとまず、鹿島町手結浦(たえのうら)の津上神社へ。
〜築140年のCafeしろつめくさ〜 島根半島にあって、ウミネコも飛んでくるという大芦地区にギャラリー桜蔵(さくら)がある。その中に、これから紹介する「Cafeしろつめくさ」がある。建物は明治初頭に建てられたという納屋(なや)を改築したもので、高い天井を見上げると明治のころに……
温泉に浸かり、萱葺き屋根の民家風レストランで囲炉裏(いろり)を囲んで蕎麦を食すなどとこの上もない贅沢。国道(9号線)からほんの僅か里山に入るロケーションもどこか心安らぐ。温泉、食事、スポーツセンター、農産館と欲張りな施設、町挙げての健康作りは地域密着型。「茶屋」と称するからには……
目的の佐太神社に日曜日の朝10時ごろに着いたら、境内は『出雲国風土記』の地を巡るツアーの一行で時ならぬ賑わいを見せていた。また午前中に子どもを連れて祈願する親子が5組ほどあり、またロマンスグレーのカップルや、カメラを下げた若いカップルも幾組か。この大社造りの3つの本殿が並び立つ壮……
暗い大きな洞穴をゆっくりと船が進む。すると右手上の方に白木の鳥居が見えた。ここが、この洞窟を生み出した金色に輝く弓矢の伝承とともに、佐太神社に祀られる佐太大神(さたのおおかみ)が生まれたところと伝わる。ここへやって来るには、松江市島根町の加賀の港から船が必要となる。
このタイトルの不思議な話が伝わるのは、松江しんじ湖温泉駅からローカル線の一畑電鉄に乗って7番目の駅となる津ノ森駅のすぐそばにある神社である。宍道湖の湖面を眺めながら津ノ森駅のアナウンスを聞いてプラットフォームに降り立ったら、宍道湖の方を向いて左手方向を眺めれば、そこに、小ぢんま……
出雲大社の古伝神嘗祭などで用いられている供物を調える火は、人が手で起こした神火だという。このため出雲大社の使いの者が、火を起こす道具である燧臼(ひきりうす)と燧杵(ひきりきね)を頂きに、ここ熊野大社に餅を持参して行われる神事がある。そこでは、持参した餅を前に、熊野大社の亀太夫と……
国道9号線から石宮神社の前を通って、高速道路の橋脚の下を通り過ぎ、椎山1号墳と刻まれた来待石の道標に従って右折しなだらかに左に曲がっていく坂を上がると、見上げるような農家がある。これが、古墳ほど古くはないが築145年、明治初期に建てられた古民家である。ここが、みんなのおうちカフ……
『出雲国風土記』には、所造天下大神(オオクニヌシ)が宍道郷(松江市宍道町)で猪を追い、二頭の猪と猟犬が石と化した話が載っているが、その御子であるワカフツヌシも猪を追った。場所は宍道郷から宍道湖をはさんだちょうど対岸となる大野郷(松江市大野町及びその周辺)である。そのワカフツヌシ……
「南は入海である。春は鯔魚(なよし:ボラ)、須受枳(すずき)、鎮仁(ちに:チヌ)、■鰕(えび)など大小さまざまな魚がいる。北は大海(日本海)である。 恵曇浜(えともはま)。広さは二里一百八十歩ある。」これは、『出雲国風土記』に載る秋鹿郡の海岸部や松江市鹿島町恵曇の様子である。その……
出雲市の朝山は、以前この「いずもる」で「大国主が、来る日も来る日も通ったヒメ!?」として、大国主(大穴持)の愛の遍歴ぶりを書いたことのある場所である。そこに六神山(ろくしんざん)とか五山(ござん)とか呼ばれる山々があるというので、神戸川(かんどがわ)が山地から平野部に流れ出る口……
本殿の屋根に木に彫られた顔の面が6つも取り付けられており、どこか彼方を見つめている。他では見られない景色をもった多賀神社。これらの面は祀られている六神の顔を彫ったものだという。それぞれに風格を感じさせる顔となっており、当然のことながら主祭神のスサノヲはどの面であろうと思ったりす……
牛若丸と弁慶をご存知だろうか。牛若丸とは若き日の源義経のことである。大男の弁慶のぶんと振るう薙刀の鋭い切っ先をひらりと飛んで交わす牛若丸。その牛若丸に降参した弁慶は後に、義経が兄の源頼朝に追われて、奥州にて多くの敵に囲まれた時、義経を守って雨のように降る矢を一身に受けて立ったま……
「いとしい人を待ちわびているものは誰しも、嵩山の頂上までお参りしようとする。この山は町のどこからでも見えるし、頂上にあがると昔の国が見渡せる。」これは小泉八雲が著書「心」に描いた嵩山の描写である。彼は明治24年の初夏に登ったといわれている。そのころもヤマユリが咲いていたのだろう……
出雲を象徴する物といえば勾玉(まがたま)を思い浮かべる人は多いだろう。出雲大社の神門通りや松江にある勾玉などを販売するストーンショップが若い女性に人気で、勾玉作り体験も盛況と聞く。『古事記』ではスサノオと姉のアマテラスがお互いの気持ちを確かめる誓約(うけい)の場面に、スサノオが……
島根半島の東部にある千酌(ちくみ)という地区で、流鏑馬の神事があるというので、勇壮な馬の疾駆が見られると思い行ってみた。祭りは、奉幣を振る行列が悪魔を払い、安全と豊作大漁を祈願して村内を歩き、神事の終わりには馬に乗った騎射が3つの的に矢を射た。しかし、流鏑馬の馬は観衆の取り囲む神……
『出雲国風土記』の意宇(おう)郡に登場する神名樋野(かむなびぬ)は、神の隠れこもる草山の意味という。東に松があり、他の三方には茅があると書かれており、茅はススキに代表される草だから、古代はかなり草むした山だったと思われる。しかし、古代の人々は、その山に神が籠っていると感じていたと……
日本海に面した松江市鹿島町古浦とその南で宍道湖に面する松江市長江町の境にある朝日山(標高341メートル)は、『出雲国風土記』に記された四つの神名火山(かんなびやま)の一つに比定されている。『出雲国風土記』は、この秋鹿郡(あきかぐん)の神名火山のくだりに「いわゆる佐太大神の社は、そ……
鳥居を出てくるやいなや「ホエー!」と大きな奇声をあげて襲いかかってくるガッチ。バシッ!と尻や腿を叩かれる。この日は、30発は叩かれただろうか。もう二度と行きたくはない。この「ガッチ祭り」は毎年10月23日に行われる松江市島根町野波の祭りである。ガッチの持つ藁の棒は「スッボ」と呼ば……
オオクニヌシは二度殺され、二度生き返る。そんな物語が『古事記』には描かれている。その一度目、オオクニヌシが兄神達と稲羽(いなば)の国のヤカミヒメに求婚に向かう旅の途中、オオクニヌシはサメに皮を剥がれた稲羽の素兎(しろうさぎ)を助けた有名な物語がある。まもなく、ヤカミヒメは多くの兄……
大岩大明神と呼ばれた神社があるという。調べたら松江市にある生馬(いくま)神社らしいが、生馬神社は西東の2社があるという。とはいえまずは、大岩のあるという西の生馬神社に行ってみた。短い参道の前に立ったら、目前の鳥居の左手に大岩が飛び込んで来た。大岩大明神らしい景色である。ネットで見……
「ずいぶんあちこちと旅行ばかりしているが、今までのところいちばん印象の強い、なつかしいところはどこだ、と聞かれれば、ためらうことなく私は、それは出雲の美保関だとこたえる。」これは、日本の民俗学をリードした和歌森太郎が『美保神社の研究』の序に記した言葉である。美保関の祭りについて聞……
島根半島の松江市美保関町に白砂の海水浴場で有名な北浦がある。その海岸風景は島根半島随一の絶景と思う。海水浴場の白砂が海に伸びてつながったような島があり、そこに伊奈頭美(いなずみ)神社が鎮座している。正月5日の午前10時前ごろ、冬の曇り空の下、夏とは打って変わった人気のない浜に地元……
スサノヲには子どもといえる神々がいる。その一つはアマテラスとの間に誕生した神々である。姉神であるアマテラスと喧嘩になりそうになり、そんなことはしませんよと、行った誓(うけい)という儀式によるもので、アマテラスが身につけていた勾玉の飾りをスサノヲが噛み砕いて息を噴き出すと、五柱の男……
星上山(ほしかみさん)と言うロマンチックな名前の山が松江にある。頂上付近には星上山スターパークなる聞いただけで、泊まってみたくなるようなバンガローの宿泊施設があった。しかし今は朽ち果ててしまっているが、そこから稜線をたどって東へ向かうと星上寺(せいじょうじ)があり、 さらに那富乃……
7月28日の暑い夏の日曜、島根半島にある片江(かたえ)という漁村に向かった。朝9時、海も空も青々として日差しがきつい、この日は午前中に気温が33度になった。港に車を停め、集落の路地を方結(かたえ)神社に向かう。途中、紺色の法被(はっぴ)を着た人たちに出会う。「おはようございます」……