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松江しんじ湖温泉駅出発

まつえしんじこおんせんえきしゅっぱつ 

体験する松江エリア平成時代

旅の最初は、『松江しんじ湖温泉駅』を出発し宍道(しんじ)湖や沿線の風景を楽しみながら『一畑口駅』へ。最初は電車の“揺れ”に苦戦しつつも、窓の景色を楽しむ。宍道湖では“シジミ漁”をする数かずの船が、その風情を演出する。
駅の建物は古いものが多く、それすらも何かのセットのような雰囲気を醸し出す。車窓の眺めを楽しみながら、最初の目的地である『一畑口駅』へと向かう。


◎松江しんじ湖温泉駅
朝の松江しんじ湖温泉駅。通勤ラッシュも一段落し、電車から降りてくる人も疎らになっている。駅の横の「足湯」には、電車待ちだろうか、数人の女性たち(昔は若かった?)の話しが盛り上がっている。僕は沿線の自転車屋さんからのレンタル自転車、彼女は一畑電車が貸し出す自転車を使い、「チャリ旅」へと出発した。
今回の切符は1日フリー券。「何回乗り降りしても1,500円です。自転車の持ち込みも可能ですので、便利だと思いますよ」と一畑電車株式会社の吉田部長。出発前のホームで偶然お会いし、お話をお聞きした。「手前味噌ですが、この沿線には見所がたくさんあります。自転車でのんびりと廻ると気持ちいいと思いますよ。気をつけて行ってらっしゃい」とホームから手を振ってくれた。
ドキドキしながら電車へ。ホームと電車の段差が気になったが、難なく車内へ。すでに数人のお客さんが座っていた。これなら、他のお客さんには迷惑をかけることはなさそうだ。出発直前、駆け込みの乗客が滑り込んできた。僕たちの自転車を見て、一瞬「ギョッ」とした表情。
やがて電車が動き出す。とにかく揺れが激しいので、座りながら自転車をしっかり支える。自分の自転車を支えるので精一杯。反対側の席で、ゆかりさんも必死に自転車を支えている。一駅、二駅と過ぎるうちにふたりとも電車のリズムに慣れてきたのか、自転車を支えながらでも会話が弾むようになってきた。

◎自転車乗り入れサービス
このサービスが始まったのは1998(平成10)年。全国にはまだ数例しかなく、最初は手荷物扱いで有人駅からはじめた。徐々に利用者が増え、翌1999(平成11)年からは全駅で利用できるようになった。2005(平成17)年からは、1,500円で全駅乗り降り自由な「1日フリー乗車券」と併用できるようになり、その便利さは一層高まった。
沿線にある自転車店の「タクワサイクル」のご主人も大いに関わったひとりだという。「国内や海外の例も調べました。こういうと失礼ですが、一畑電車も日中はお客さんが少ないし、自転車を乗せても良いのかもと思いまして。最初はほとんど門前払いでしたが、あるテレビ局の人と行った頃から話しを聞いてもらえるようになりました。出雲地方は自転車で走ると、本当に気持ちのいい所です。ぜひ使って欲しいです」と多久和さん。ご本人もまとまった休みが取れると、全国あちこちを自転車で走っているという。「タクワサイクル」さんでは、事前の連絡があれば、駅やホテルへ自転車を持ってきてくれるという。

◎車窓からの風景残る駅舎
出発してしばらくすると、宍道湖が姿をあらわす。穏やかな水面にはシジミ漁の船が浮かぶ。ここは魚介類も豊富でシジミを含む宍道湖七珍と呼ばれる鯉、モロゲエビ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、ウナギ、スズキなどが有名だ。
この路線の駅舎には、昭和の雰囲気を残す駅が多く存在する。秋鹿(あいか)駅などは、木造で一時代のスタンダードな形のものだ。ホームには昔ながらのベンチがあり、ノスタルジックな風景に思わず入り込んでしまう。
そんな車窓に酔いしれていると、最初の目的地である『一畑口駅』に近づいてきた。




松江温泉駅から出発

松江しんじ湖温泉駅

切符は一日フリー券

一畑電車フリー乗車券

駅でも自転車は貸し出し中

レンタサイクル

小さな駅も一畑電車の名物

一畑電車