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知る体験する松江エリア平成時代

 『島根半島四十二浦巡り』というものがあるのをご存じだろうか?なかんずく「いずもる」を好まれる趣向の方々であれば、知っておられる向きも多数おいでだろうが、ここはあえてビギナーモードで…つまり、観光気分のドライブモードで、ひとまず、鹿島町手結浦(たえのうら)の津上神社へ。


 『島根半島四十二浦巡り』。かいつまんで説明すると、島根半島の浦々で、汐汲みをしながら各浦に鎮座する神社を巡る信仰習俗のこと。もちろん、汐汲みは、浄めのためにおこなう習俗。さて、この汐汲み。いつ頃、何をきっかけに始まったか…等、まだまだわからないことが多いそうだ。ただ、島根半島といえば、国引き神話とも密接な関係性があり、そういう意味合いからも、学識から在野まで幅広く研究されている。そしてそれら各分野のキーパーソンを軸に発足されたのが、『四十二浦巡り再発見研究会』。

 この研究会の目的は、その習俗を今によみがえらせ、浦巡りの価値や意味をディスカバーし、各地域の発展に寄与しようというもの。
 活動内容は、四十二浦の起源、行事、伝承などの情報収集と研究。研究会、講演会、現地調査、広報配付と本格的。さらに※ホームページも用意されている。

 さて、今回はその四十二浦のひとつ、鹿島町の手結浦(たえのうら)に鎮座する「津上神社」を訪れてみた。
 松江市内から恵雲漁港に向けて県道を走り、恵雲漁港に突き当たったら右へ。そこからさらにひと山越え、恵雲小学校を経由した恵雲漁港に対して北側の入江がそれ。いかにも島根半島の浦という趣きの自然が作りだしたこぢんまりとした港だ。
 境内の御由緒によると、祭神はイザナギ、イザナミの御子神、速秋津彦神、速秋津姫神の二神。さらに御由緒板には、雲陽誌(享保2年に編纂された松江の地誌)による「神社の西方に岩穴があって塩穴といい、古来例祭に参拝する者は、この洞窟で“塩を汲んで潔をし、拝礼することが風習”」と汐汲みの表記がされている。

 神社は手結浦を見下ろす小高い山に座する格好のロケーション。とはいっても境内まで上がってしまうと草木に阻まれて眺望は期待できないので、石段途中から港を眺めることをおすすめする。整備補強された境内は、生活感漂う港風景に反比例して、実に整然としている。この整備のたまものか、拝殿上の飾り彫りなど、龍虎を両サイドに配して、何故か中央にはライオンが彫られるという、古来の習俗と密接な関係のある社の由来からはほど遠いアンバランス感も妙に印象に残る。また、お供え物が海草とかまぼこという素っ気ない感じが、翻ってやっぱり漁港の神社という安定感(?)もある。

 先のホームページでもわかるとおり、「四十二浦巡り」は、島根半島を余すことなく網羅しているので、出雲神話に惹かれて訪れる県外者はもとより、地域のことを意外と知らない出雲人にも有効に作用するであろう。
 四十二浦巡りに興味を持ち、研究会のホームページを閲覧し、即、会の取り組みにコミットするのも良いだろうが、まずは気楽なドライブがてら巡ってみることから始めてみてほしい。汐汲みという習俗云々をさっ引いて、ただ島根半島をトレースするだけでも、案外楽しいものだから。




津上神社の入り口

この上に津上神社がある

海の香りのする津上神社の境内

海の香りのする境内

拝殿軒下のライオンの彫刻

彫刻は斬新な獅子(ライオン)

眼下の手結の港の網を手入れする風景

手結浦(たえのうら)と呼ばれる港