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大国主から逃げ隠れたヒメ!?

おおくにぬしからにげかくれたヒメ!? 

見る知る出雲エリア平成時代

出雲市平田町の口宇賀(くちうか)の地は、平田の町から日本海へ出る途中にある。バス停の口宇賀から500メートルほど歩くと人家と接して田んぼの中に宇賀神社がある。道が分からない場合は、土地の人に聞くのが一番だろう。


祭神は綾門姫命(アヤトヒメノミコト)である。出雲国風土記では、所造天下大神命(大国主神)の娉(よば)いを拒否した女神。娉いとは婚約する・求婚すると云う意味だから、大国主命の求婚を断った神ということになるだろうか。アヤという言葉は綾に織ったもので遮るという意味も持つようで、アヤトヒメという名前は、この女神の性格をそのまま表しているらしい。
境内には、石に男女の夫婦を彫った道祖神のようなものがいくつか並んでおり、縁結びが暗示されているが、出雲国風土記は、その後の二人を描いていない。
この物語は、大神が伺(うかが)ったところなので、宇賀(うか)と名前が付いたという地名伝承ともなっている。
さて、大国主神の求婚からアヤトヒメは逃げ隠れた場所があると聞き、そこも訪ねて見た。そこは、口宇賀のバス停から約2キロメートル西に向い奥宇賀のバス停の前を海に向って左に入る。その奥宇賀バス停から約1200メートル、光尾上を通り過ぎて峠を越え布勢上に出るが、その峠からすぐ下に見える川を渡りそのまま約150メートル進むと左手にある人家の脇にある「黄泉の穴」という看板が目に入る。ここから山中に入るが軽自動車なら通れるほどの道である。
しかし、途中で鹿よけの柵があり、これを開けてさらに進むと、左手の谷に降りるよう道案内があり、すぐに沢に降りられるが、なんとそこから約200段ほどの階段を上ることになる。これが結構しんどい。はあはあ息を切らせて、登りついたところには、黄泉穴と刻まれた岩が待ち構えていて、顔を上げると小さなお社が眼に入る。これは夜見神社と呼ばれアヤトヒメが祀つられている。その左手に、柵で囲まれた黄泉穴があり、アヤトヒメが逃げ隠れたと伝えられる。うーむ、まるでルイス・キャロルのアリスが落ちた穴のような感じ。ウサギなら入れるかもしれないが・・・。
ここに至る道は、険しい上に人里離れているので、男の私でも少し心もとなかった。途中の光尾上で草刈り中のご婦人に道を聞いたが、「最近、アヤトヒメの黄泉の穴を訪ねて人が来られますね。」ということであった。この穴、地元では「めいどさん」と呼ばれているから、ご用心ください。




鳥居の脇の狛犬、向こうに本殿

なかなかユーモラスな狛犬

境内にある男女の姿を彫った道祖神

人の願いがこもっているような道祖神

黄泉穴の案内板

黄泉穴の案内板

これが黄泉へと続く穴

もっと奥がありそうな黄泉穴