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雨乞いに応える石神パワー

あまごいにこたえるいしがみぱわー 

見る知る出雲エリア平成時代

島根半島の山中に地元では「たていわさん」と呼ばれる巨大な石を祀る神社があるというので行ってみた。場所は出雲市平田町で有名なお寺、一畑薬師の後方の山中、字名は庄部という所らしい。一畑電鉄の園駅から松江方面へ400メートルほどのところから左の山中へ向かい、道なりに6キロほど行くと、左に枝道あり、そこに大きな貯水漕がある。ここで左に曲がって200メートルほどで立石神社の看板があり車を止める。


その道路脇から山の斜面を下る形で始まる山道を進んでいくと、100メートルも歩かない内に、樹木の間に大きな石が見え、これかっ!と思うが、威厳が感じられないので不思議に思って見回すと、足元の山道はさらに続いているので、もう少し先まで行ってみる。
これだっ!先ほどの石よりもさらに大きな塊が木立の中に見えた。その大石の前に広がる境内?に入る場所を探すと、なんと注連縄を張った入口があった。大石神社となっていたから境内であろう中に入って進むと、左右に見上げるほどの2つの大石が起立する。この2つの間にも注連縄が張られて竹筒の賽銭箱が置いてある。注連縄を張る両脇の竹の棒のそれぞれの横には、榊(さかき)のような樹木が植えられており、参拝する。顔を上げて奥に目をやると、最初は繁みかと見えていたのが、石だとわかる。まるで、二つの大石の間に生まれた子石のような感じである。この大石3つの境内は、椿の木で囲まれていた。
言い伝えによるとこの大石は多伎都比古命(タキツヒコノミコト)を祀るそうだ、この大石から南に1.7キロメートルに神名樋山伝承を持つ大船山がある。『出雲国風土記』では、この神名樋山に比定される大船山の峰の西に石神があるとし、古老が伝えるには、母神が多伎都比古命がお腹にいる時、「いままさに産もうと思うが、ここがちょうどよい(父神のおられる方向に向かった位置で産みたいと思っていたが、まさにその方向でちょうと良い)。」と言った。石神は多伎都比古命であり、日照りのときに雨乞いをすると、必ずや雨を降らせてくれるのだ。と記している。
多伎都比古命のタキは瀧に通じ、水神と考えられている。『出雲国風土記』に記された石神は大船山から西方とされており、その方向は異なるが、立石さんも雨乞いにパワーを発揮したようで、平田図書館所蔵の『郷土史さか』によると、立石さんには、昔、金築人麿呂、金折佐一郎たちで雨乞いの祈祷をした。その時の御幣を持って雲見峠まで雨を迎えに行くと、必ず雨が降ってきた。いう伝説が記載されている。立石さんの近くに雲見峠があるという。
さて、この立石さんに来る途中、分かれ道の貯水タンクのところに老母石(おぼいし)神社という立看板があり、そこに地面に埋まったような石がある。これは、多伎都比古命の連れて来た姥(うば)を祀ったものと言われている。賽の神とも言われているようだ。さて、この老母石の近くの石段の上に柵で囲まれた石は客神社である。お間違いの無いよう。石神が密集している。
立石さんの3つの大石だが、「出雲の石神信仰を伝承する会」が行った調査によるとこの三つの石はもともと一つの巨石であった可能性があるという。それが、割れたとしたらその時は大きな音がしたことだろうと思った。




立石さんを示す貯水漕前の看板

立石さんを示す看板

立石神社の境内地

立石神社の境内地

注連縄があり拝礼する場

拝礼する場

立石さんを見上げたところ

立石さんを見上げたところ