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オオクニヌシの祖父母が祀られる国引きの地

おおくにぬしのそふぼがまつられるくにびきのち 

見る知る出雲エリア平成時代

今回訪れたのは、オオクニヌシノカミの祖父母が祀られているとされる長浜神社。主祭神は『出雲国風土記』の冒頭で、「国来国来(くにこ、くにこ)」と出雲の国を国引きして大きくした八束水臣津野命(ヤツカミヅオミツヌノミコト)。国引きした綱の跡と云われる園の長浜の一角にこの長浜神社はある。


『古事記』によると、この国引き神話の神様は淤美豆奴神(オミヅヌノカミ)としてスサノヲの5代後に登場しており、その妻はフテミミノミコト、その2代後にオオクニヌシノカミが誕生している。このようなわけで、長浜神社はオオクニヌシノカミの祖父母が祀られているとも伝えられているのである。『出雲国風土記』には神門郡にあったと記載されていて、現在の神戸川が日本海に注ぐあたりである。
 境内は、神戸川と日本海の間に位置する小高い丘の上。砂地の丘の上に、シンと静まる境内ですが、時折の参拝者が足音を響かせる。高齢な夫婦やタクシーガイドの案内で巡って来た若い女性の二人連れなど、一定の人気が感じられる。
 その境内に興味深い物がある。その一つが三社鳥居といって、鳥居が三つ並んだ形のもの。これは、奈良の三輪山で「古来、一社の神秘なり」と言われている三輪鳥居(みわとりい)と同様の形。なぜだか宮司さんも分からないそうで、その三社鳥居の背後には、縁結びの夫婦石が鎮座している。
 また、拝殿の左手には社務所、さらに社務所の左に、大木が保存されていた。幹の周りは5.9メートル。弓懸けの松と呼ばれており、戦国時代に豊臣秀吉が朝鮮出兵をした時、出雲一帯に武器・兵糧の供出を求めたところ、出雲大社は断ったけれど、長浜神社はそれに応えて戦勝を100日間も祈ったという。その時の使いの武将が加藤清正と云われ、彼が九州の陣に帰ったところ、ちょうど戦勝の報告が入ったことから、縁起が良いとして長浜神社に恩賞を与えることになり、褒美を持ってやって来た武将、片桐且元(かたぎりかつもと)弓矢を立て懸けたことから弓懸けの松と呼ばれる様になったとのこと。
 この長浜神社、その昔は妙見(みょうけん)大社と呼ばれていたという。妙見とは、夜空を見た時に北天にあって動かない北極星を宇宙の全てを支配する最高神とし、その傍らで最高神の乗り物とも言われる北斗七星は人々の行いを監視し、その生死禍福を支配するとして、北極星と北斗七星を祀るもの。この妙見に祈ることで邪を除き、福がもたらされ、長生きできるとの信仰で、大陸から道教の教えとして伝わったとされている。
 当社では、国引きの神様を祀っているということで、毎年10月に綱引きのイベントが国引きジャンボ綱引き大会・福引大会として行われています。その綱は拝殿に置かれてあった。
 綱引きは立派なスポーツでもあり、また民俗的に言えば吉凶を占う一つの形なので、戦いに勝つということで、勝守(かちまもり)や最近では恋の綱引きに勝利する縁結びの神様としても注目を浴びており、そのパワーを授かろうと若い女性の参拝者が増えているそうだ。


長浜神社
住所:出雲市西園町上長浜4258番地
電話:0853-28-0383 FAX 0853-28-0081




神社近くの妙見橋より神戸川、遠くに出雲大社がある

妙見橋より神戸川を望む

長浜神社の境内、正面に拝殿

掃き清められた長浜神社の境内

境内右手奥に並ぶ可愛い夫婦石

可愛い夫婦石

勝負に勝を縁起にする願ひ綱

願ひ綱(国引の地縁結手形)は女性に人気が