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神等去出祭

からさでさい 

参加する出雲エリア不明

神々が出雲にやってきて7日。その目的は会議とも法事とも伝えられる。行事を終えた神々は出雲大社を発つ。『神等去出祭』はその神々を見送るお祭りである。さらにその7日後、『第二神等去出祭』により出雲を旅立つ。その無事を願う人びとに見送られながら。


全国へ旅立つ神々
八百万の神々が出雲大社を旅立つのが『神等去出祭』。神迎祭(かみむかえさい)から7日後の午後4時。出雲大社拝殿には神迎祭や神在祭(かみありさい)の時ほどではないが、多くの人が待つ。御祓い後、拝殿内でお祭りに参加できるが、終了まで拝殿を出ることはできない。
神職が一列で拝殿へと入って行く。しばらくすると、太鼓の合図とともに御祭りが始まる。まずは「ひもろぎ」を迎えに、ふた手になった神職が十九社へ向かう。神々の宿った「ひもろぎ」は、白布に覆われ拝殿へ。拝殿内の人は、頭を伏せたままそれを迎える。そして再び、御祭りが始まる。神職の祝詞(のりと)に柏手。やがて『神等去出祭』はクライマックスへ。ひとりの禰宜(ねぎ)が本殿へと向かう。拝殿からの柏手と、「ウォー」という神職の声を合図に本殿で待つ禰宜が扉を3回叩きつつ、「おたぁちぃ、おたぁちぃ、おたぁちぃ」と唱える。このとき、神々はまず出雲大社を発っていく。

なぜ神々は出雲に集まるのか?
出雲に神々が集まる理由。それには諸説あるが、例えば『日本書紀』にある「国譲り」神話では、オオクニヌシがアマテラスに自分が治めていた国を譲り、オオクニヌシ自身は「幽(かく)れたる事」を治めることになったという。「幽れ」とは、簡単に言うと神さまに関すること、神事であり、縁結びもそれの一つであるとされている。「幽れたる神事」を全国から神々が集まり、執り行なうものとして、現在に伝えられている。
また、神々の母であるイザナミが旧暦10月に出雲で崩御したことから、法事のために集まるとの考え方もある。幕末、《大社えんむすび》などの錦絵を通じて「10月になると、出雲で全国の縁結び会議が行なわれる」という説が定着したのである。それを語る錦絵は、いまでも数多く残されている。

神事の美しさ
出雲大社独特の四拝四拍四拝。お祭りのときのそれぞれの所作。そのまま持って上がればよいと思われるお供えも、一段ずつゆっくりと、ゆったりと。宮司や巫女(みこ)の一つ一つの動きはていねいで美しい。ある宮司さんは「それぞれの動きにはこれといった理由はありません。拍手が四回というのも、いつ頃から決まったものかもわからない。でも長年続けられたお祭りで、こう動くとていねいである、こうすると敬っているように見える、などの動きが、美しい形になっているのかもしれませんね」と話してくれた。我われの遠い先祖がどういった所作で物事を行なっていたかはわからないが、これらの神事を見ることで、その一端を覗き見たような気になる。
 
出雲から全国へ
神等去出祭から7日、さらに神々は出雲に滞在し、全国へと帰っていくと伝えられている。出雲を旅立つ神々の無事を祈る神事が『第二神等去出祭』である。本殿のみで粛々と執り行なわれる。禰宜が本殿前で祝詞を上げ、扉を3回。同じく「おたぁちぃ」といった瞬間、全国へと旅立つのである。
神々が旅立った後、薄曇りの空は一段と濃くなり、出雲地方は本格的な冬を迎える。




神等去出祭を見届ける人達

人混み

ひもろぎは十九社から拝殿へ

拝殿

神々によって結ばれた二人

結婚式

「おたぁちぃ、おたぁちぃ、おたぁちぃ」

神去出