前回(1)で稲佐の浜の夕日が、6月頃には日御碕方面の山の端に沈むと書いたが、その同じ頃、日御碕の夕日はどう見えるのかというと、ちょうど出雲日御碕灯台の向こうの海に沈み始める。そして、日御碕にある日御碕神社の夕日の祭りが行われる8月7日とその前後の月は、紀元前にアマテラスを祀る社があったと伝わる経島に夕日が落ちるのを見ることができる。そんなわけで大社の夏は、日御碕の夕日がおすすめである。
出雲日御碕灯台の向こうに沈む夕日とは、写真のような感じである。これを撮ったのは、7月23日である。6月の夏至の頃は灯台より右手の離れた位置に沈む。
この撮影場所は、出雲日御碕灯台の駐車場のトイレの後方にある遊歩道からである。灯台の全景と入口がちょうど見える場所は、そこしか無い。松の木や草が生えていて、見える場所は限られている。灯台と遊歩道をはさんだ反対の側は、国内で多くのホテルを運営する星野リゾートのホテル界出雲の駐車場となっている。
その日の日没は19時20分だった。現地に15分ぐらい前に到着して、夕日を上手く撮ろうと、試し撮りをしていたら、「わあ、ここからなら夕日が見られるわ〜」と声がして振り向くと、同じ柄の浴衣姿の男女数人が、私とは細い紐2本で仕切られたホテルの駐車場の敷地内に集まって来られた。そしてもちろん思い思いにスマホを構えて撮影されだした。私は、その前にいるので、数枚の撮影をしては横に退いたりなどして、なかなか気を使う撮影となった。日没の時間には、そのスマホを構えた浴衣姿の人は二十人近くにもなっていた。
この灯台と夕日のコラボは、4月から8月ぐらいまで楽しめそうだ。また、夏の週末は灯台のライトアップも行われおり、出雲観光協会のホームページには出雲日御碕灯台ライトアップのページがあって、日程が紹介されている。
さて、その出雲観光協会の夕日指数で100%が表示されていても、海の上に雲が出ていたりして、夕日が雲に隠れるということが起きたりする。そんな時に役立つのが、灯台ライブカメラである。その「【ライブカメラ】出雲日御碕サカグリ照射灯」は、海の安全を守る海上保安庁が提供している。そして、そのホームページからは利用者がカメラをコントロールできるだ。だから、カメラを夕日の沈む方向に向けて、雲の様子を見ることもできる。ちなみに、サカグリ照射灯は、出雲日御碕灯台の北側50メートルほどのところにある小型の灯台のようなものである。これは、出雲日御碕灯台の沖500メートルほどの海中にあって地元では「サカクリ」と呼んでいる暗礁に船が乗り上げないように、その暗礁を照らす照明灯である。そこに設置されているカメラを動かして出雲日御碕灯台を見ることもできる。
【ライブカメラ】出雲日御碕サカグリ照射灯
この日御碕には、夕日を楽しむスポットが他にもある。一つは日御碕夕日展望台である。灯台から日御碕神社の方へ遊歩道をおよそ250メートル進むと夕日を展望するベランダが作られている。写真は、その展望台に佇む年配のカップルが雲の間から降りてくる夕日を待ちながら会話している風景がいいなと思って撮ったもので、改修前の展望台の一コマである。。
展望台から左手に見える経島は、日御碕神社に祀られるアマテラスが紀元前に祀られていたといわれており、島には今でも鳥居と祠があって、毎年8月7日に「夕日の祭り」が開催されている。午後に行われる神事の終盤には、その鳥居や祠のある場所に夕日がおりてくる絶景が見られる。そのため、この日は多くのカメラマンで賑わう。(ライター 三代隆司)
※ビデオにあるのは2025年の夕日の祭りである。海が荒れたため神官が経島に渡っての催事は中止となった。
この 大社の夕日を楽しむには(2) に関してGoogleMapで検索できる緯度経度を以下に示します。
出雲日御碕灯台 35.433740, 132.629323
灯台裏の撮影スポット 35.433383, 132.630298
サカグリ照射灯 35.434088, 132.629737
ひのみさき夕日展望台 35.432575, 132.627726
夕日の祭り経島撮影スポット 35.430174, 132.627961。