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ふらっと、居着きたくなる空間〜家具屋 Flat Style〜

ふらっと、いつきたくなるくうかん かぐやふらっとすたいる 

体験する松江エリア平成時代

「古民家で、家具の工房をしているらしい。」
聞きつけてやってきたのは、雨の似合う閑静(かんせい)な住宅街。
「家具屋 Flat Style(フラットスタイル)」さんの建物は、古さゆえの美しさがあり、それだけで心はずむ。
どのような思いで、手作り家具がうみ出されているんだろう。
どきどきしながら、なつかしい木製の引き戸を開けた。


ぽつぽつと小雨の降るなか、川べりの静かな住宅街をいくと、突如古い建物が現れた。まわりの風景と調和しながらも、圧倒的な存在感のある古民家。その前には「家具屋 Flat Style」と書かれた木製の看板があり、雨に濡れそぼってしっとりとした雰囲気を醸(かも)し出している。
まずは、使い込まれた木製の引き戸がお出迎え。これまで何回の「いってきます」「ただいま」が、ここで繰り返されたんだろうか。
「こんにちは」と声をかけて中へ入っていくと、一気にタイムスリップした気分になる。家になじんだ家具の数々、時を刻むことを忘れた柱時計。中から現れたのは、もちろんおじいちゃん・・・ではなく、職人さんの雰囲気ただよう青年。
彼こそが「Flat Style」を立ち上げたその人、松崎直也(まつざきなおや)さん。「どうぞ」とすすめられるままに靴を脱ぎ、上がり込むと、そこは家具屋さんというよりもカフェか雑貨屋さん?
「家具だけではなく、地元の作家さんたちの作品も置いてます。カフェスペースもありますよ。」
そう言われて見渡すと、こだわりが感じられる雑貨類と、松崎さんの温かみのある家具たちとが当たり前のように共存していることに気づく。なんて居心地のいい場所なんだろう。
「空間をプロデュースしたいんです。それは建物に限定しないで、松江の町自体もそうです。ここにしかない古くてよい物がたくさんある、それを全国へ発信していきたい。」
頭の中には、理想の「空間」がはっきりと描かれているようだ。
そんな松崎さんにとって、工房とは?
「いのちがうまれる空間、ですね。以前、お客さんが大切にしている家具をリメイクしたんですが、でき上がったときに涙を流して喜んでもらえて。」笑いながら「そんな時は、こちらも泣きたくなりますね。」とつけ加えた松崎さんからは、いれていただいたカフェモカの味と同じ、温かくてやさしい人柄が伝わってくる。
「和」と「古いもの」に対する愛情が詰まったこの場所でくつろいでいると、作品を連れて帰るよりも自分がここに住みつきたくなってしまう。次回は必ず、家具を注文したいなぁ。
あ、注文するなら余裕をもって、お早めに。1点1点手作りの家具、いのちはすぐにはうまれない。まずは、メジャーで部屋の採寸をするところから始めよう。




雨に濡れる看板

雨に濡れる看板

居心地の良さに、つい長居

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いのちがうまれる空間

いのちがうまれる空間

温かくて、やさしい味

温かくて、やさしい味