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山岳信仰の聖地「大山」に妖怪出現!?

さんがくしんこうのせいち「だいせん」にようかいしゅつげん!? 

見る知る体験する松江エリア平成時代

 伯耆富士「大山」とともに古くから信仰を集める天台宗の別格本山「大山寺」。その大山寺の分院「圓流院」が平成21年に再建。しかも百八体もの妖怪たちと賑やかに復活。はてさてその全容は?大山観光の新しい目玉になりそうな予感をはらんだ圓流院へ、いざ潜入!


 その姿形から伯耆富士の異名をもつ「大山」は、古くから信仰の対象として衆目を集めてきた山である。それを象徴するのが、修験の場として発展したとされる大神山神社と、奈良時代より山岳信仰の霊場として繁栄したとされる「大山寺」。
大山、および、大山寺についての故事来歴は、いくつも詳しく紹介されているサイトがあるので、ここでは割愛。一般的に大山寺というと、大山観光の中心的イメージ、それも大山ならではの大自然を満喫するのとは対照的に、老若男女が親しめる観光スポットであろう。
 そんな観光スポットとしての大山寺の魅力に華を添えるのが、『大山寺圓流院』。昨年(平成21年)再建されたばかりの真新しさもさることながら、山岳寺院とは思えないようなモダンな外観とその伽藍の天井を埋め尽くす、漫画家・水木しげる氏の妖怪画がその源泉だ。
 寺院と妖怪。この合っているようで合ってないような組み合わせの妙には、妖怪を精霊として捉える“八百万の神々”的な要素があるようで、またかつての神仏習合を思わせる大胆な発想の展開とも考えられる。ただし、かつて圓流院の住職を務めたとう然(1796-1861)の著書「大山雑記」にもたくさんの妖怪が登場しており、史実的にも古くから妖怪と馴染みのある寺であったようだ。水木氏の妖怪画を取り入れるきっかけになったのも、このとう然の故事をきっかけに、水木氏からの寄附という形で実現したという。
さて、その妖怪画だが、全部で108枚。ここに阿弥陀(あみだ)と補陀落(ふだらく)というふたつの浄土が描かれた画を足した110枚が天井を荘厳に飾る。この妖怪画は布地に原画をプリントしたもので、もちろん、鬼太郎など人気の水木キャラクターも勢揃い。ファミリーで賑わう大山観光らしく、ファミリー層への“引き”も万全だ。
 伽藍全体のイメージは動画で確認してもらうのが一番だが、なにせ高い天井の伽藍なので、ずっと眺めていると正直辛い。そういう場合は入口側に設置された妖怪画の説明プレートを参照しつつ、興味を持った妖怪画をピンポイントで観察するのをおすすめする。入口付近にはそれぞれの妖怪の解説書も販売されているが、A4用紙にプリンタ出力といったもので、今後の改善を期待したいところだ。
 お金の話題が出たところで、最後に触れておかねばならないことがひとつ。圓流院を紹介する各種サイトでは入館料は無料とアナウンスされている。とはいえ、寺院の維持には当然ながら費用がかかる。このような寺院を後世に残していくためにも、そして自らの健康祈願のためにも、志を置いていくべきではないだろうか。




天井に描かれた鬼太郎の絵アップ

天井絵1

天井に描かれた鬼太郎などの絵

天井絵2

天井の全景

天井

圓流院の外観

圓流院