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「ドラゴンの道」を爽快ドライブ

「どらごんのみち」をそうかいどらいぶ 

見る松江エリア平成時代

 出雲神話を訪ねたり、景色を楽しんだりと、各種ウォーキングコースが充実している島根県だが、実は、のんびりとドライブするのに適した風光明媚な道路が多いのも特徴。そこで今回は「ヤマタノオロチ」をキーワードに、雲南市から松江市まで、斐伊川を下る半日ドライブコースを紹介してみたい。


 ドライブのスタートは、山陽側からなら三次IC下車で国道54号線北上、松江方面からなら国道9号線からでもロマン街道(広域農道)でもお好みに応じて…。しかし、最初に訪ねるのは雲南市木次町里方の「八本杉」。場所は「里熊大橋」北詰の住宅密集地帯で、その名の通り大きな杉が目印(駐車場有り)。出雲神話界のトップスター、スサノオノミコト(須佐之男命)がこの地でヤマタノオロチ(八岐大蛇)を退治、その頭部を埋めたと伝わる。8つの頭部それぞれの上に杉の木が植えられたということだ(現在の杉は1873年に植樹されたと伝わる)。「我たのむ人を恵みの杉植えて、八重垣かこみ守る末の代」と詠まれた古戦場。
 八本の杉に包まれつつ、出雲神話版オウガバトル(※注)に思いを馳せた後は、斐伊川沿いの道路を出雲方面へ。
 ここから次なる「雲根神社」(出雲市大津町)までが、このドライブコースの真骨頂。見通しのよい斐伊川土手をゆっくり走れば、気分も爽快! 島根県は市街地から少し離れたところに、このような手軽に楽しめるドライブルートがたくさんあるので、充分に安全を確認しつつ、自分なりのオリジナルルートを開拓してみるのも面白い。
 土手沿いの道から国道9号線に合流、大津小学校手前を右折すると、水田の真ん中に見えてくるのが、切り落とされたオロチの頭が流れ着いたと伝わる「雲根神社」(駐車場有り)。
 はて?八本杉に埋められたのでは?という疑問を残しつつも、程よくのびた参道を進んでいくと、拝殿の右側にヤマタノオロチの荒魂を鎮めたとされる石塚が。もともと、スサノオノミコトの奥方、稲田姫命を祀っていた社というが、オロチが祀られて以来、夜ごとあらわれる怪火をおそれた村人が、スサノオノミコトの神霊を祀ったところ、その怪現象が止んだ…という「八岐大蛇伝説」も伝わる。
 周辺は閑静な住宅街だが、出雲の東側の入り口という場所柄、食事するにもお茶するにも利便性抜群。また出雲大社へのアクセスも簡単なので、時間に余裕のあるドライブならば、ぜひともお立ち寄りを!
 さてさて、ドライブも佳境。最後のポイント「大野津神社」へ。
 雲根神社からは、とにかく国道431号線を目指して北へ向かう。431号線に合流したら、松江を目指し東へ。大野町「津の森駅」の真向かいにあるので、場所も簡単。この「津の森」という地名も、退治したヤマタノオロチの角と骨がこの地へ流れ着いたことから「角森(津の森)」となった、という伝承がある。
 とまあ、そんな伝承からもわかるとおり、スサノオノミコトが祭神。ここでまた、埋められたはずのオロチの角や骨がなぜに?と疑問が上塗りされるが、実際、この社では、社殿に奉納される蛇骨で雨乞い神事をおこなったという伝承もある。多数の船を使ったと盛大な神事であったとされるが、宍道湖岸と直結するかのように伸びた境内石段のレイアウトなど、そうした往古を偲ばせるようだ…。
 さて、この「ドラゴンの道」を風土記の時代に照らし合わせてみると、斐伊川と宍道湖は繋がってなかったようだが・・・。とはいえ、みんな神代のオハナシ…。訪れた人それぞれのファンタジーを創りあげてみるのも一興かも。

※ オウガ又はオーガ
ヨーロッパでは伝承や神話に登場する凶暴で残忍な怪物。




八本杉の石碑もあります

八本杉の場所

境内右手奥にあるヤマタノオロチを祀る石神社

石神社(いしがみのやしろ)

大野津神社の鳥居など

大野津神社

大野津神社の横に広がる宍道湖

宍道湖岸辺風景