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寄せては返す波のように尽きない展示

よせてはかえすなみのようにつきないてんじ 

見る歴博を見学出雲エリア不明

古代出雲歴史博物館がオープンした。さて、どんなところなのか、ちょいと出かけて見ようじゃないかと来てみたら、大きな庭園にびっくりした。建物は重厚な感じで横たわり、後方の緑なす山々が印象的である。展示は、もう古代出雲がワアーッと押し寄せる波のような感じで、1日ではとても見終われない。オッと声が出たり、ヘエーっと見上げたり、クスクスしたりと楽しみが尽きない場所だった。


古代出雲歴博の正面玄関に立ったのは、朝のオープンの賑わいも少々落ち着いた昼過ぎだった。玄関は鉄の衝立(ついたて)の間からまっすぐに、大きな緑色の勾(まが)玉に向かっている。このエントランスの両側には、ハートの形をした葉をつける桂の木が植えられている。縁結びと関係でもあるのだろうか。この広い庭園は、『出雲国風土記』を象徴しているという。エントランスより西側の出雲大社寄りの遊歩道には文字が刻まれていて、それは一目ではわからないほど大きく長いため、判読するには少し離れて見るという工夫がいる。

こんなことをしていると日が暮れて閉館してしまう。さあ、中へ入ろう。大きなガラスの空間に入ると、左はミュージアムショップとカフェになっており、展示室は右方向に進む。ガラスで囲まれているのでとても明るい空間で、チケット売り場もガラスで作られていて、水の揺らめくような青色の水紋と思われるが、聞くところによると大気の流れを表しているらしく、気持ちが和らぐ。ここで地元の私は年間パスポートを買い求める。これを入口で提示すると、フリーパスっぽく、すうーっと中へ入り込めた。

そこには、タイムカプセルような、宇宙船のような、人が10人ぐらい入れる大きな透明容器があって、なかに木質の物体が3つ存在している。これが、出雲大社の鎌倉時代の本殿を支えた3本組の柱で、1本の直径が1.35メートルもある。2000年に出雲大社境内の土中から発見されたものである。この柱で、今の出雲大社の倍の高さ48メートルもあったといわれる古(いにしえ)の出雲大社を支えていたかもしれないといわれると、ついしげしげと見入ってしまう。材質は杉という。

次へ進もう。左の展示室に入る。そこは、出雲大社にまつわる展示であった。残された絵画や古文書、神殿建築から古代の出雲大社を5人の識者によって想像復元さてれている。その映像解説の前には人だかりがしていて、関心の高さを感じる。中でも平安時代の出雲大社復元模型は見上げるほどに巨大である。その見上げた屋根の上に青空と白い雲が浮かんできて驚く。なぜかと思ったら、ここの照明は出雲地方の四季や1日が再現される仕掛けになっており、鳥のさえずりなども聞こえるという。ヘエーっである。

次をめざして進むと、『出雲国風土記』の世界に出る。ここで多くの人が立ち止まるのが、松江市の朝酌(あさくみ)の当時の市場をジオラマで再現したところである。魚や野菜を売る賑やかなようすについ引き込まれてしまう。売り物には、アユやシラウオのほか、マグロや生きたイノシシ、薬草などもある。何を食べていたのか興味津々である。

そこからすぐの場所で、女性が集まってクスクスという小さな笑い声をあげていて、何だろうと背伸びをしたら、それは「入海の宴」の模型展示の前にある「古代出雲の愛の物語」というアニメだった。当時の身分を越えた恋愛が、歌垣(うたがき)という歌合戦で女性のハートを射止めるロマンチックな物語として描かれて、見逃せないコーナーになりそう。

次をめざして回廊を進み始めたら、オヤッ?手に手にゲーム機を持った一行がいる。イヤホンもしている。それは何?と聞いてみたら、館内をガイドする装置で、入り口付近で貸し出しているというので、さっそく借りた。それを付けて、ずらりと並んだ荒神谷(こうじんだに)遺跡から出土した358本の銅剣や加茂(かも)岩倉遺跡で掘り出された39個の銅鐸(たく)などの展示を見始めたら、とたんに前に進めない。音声の説明つきなので、歩みがカメになってしまう。

お相撲さんの手形のところで、ドスコイと言われるころには、かなりヘトヘト。展示されている一畑電車の車窓でゆっくり休憩である。神話の映像展示も特別展示も次回にしよう。年間パスポートにしておいて良かったよ。近いうちにもう一度来よう。




館内を音声・画像・文字で楽しめる道具

館内ガイドシステム

各種のパンフレットや映像などが楽しめる情報交流室

情報交流室

この展示室は四季と一日の経過を照明と音響で表現している

古代の出雲大社

お得な年間パスポート、大人は1,500円

年間パスポート